知念城は沖縄南部にあるグスクで、古城(こーぐすく)と新城(みーぐすく)で構成されています。新城の正門がアーチ門になっており、小規模ながらも沖縄の城らしさを楽しめました。
2022年10月登城
満足度:★★★★★
歴史
城の始まりについては不明ですが、知念按司代々の居城だったと伝えられています。
城は古城と新城で構成されており、古城の方は、沖縄最古の歌謡集「おもろさうし」に「ちゑねんもりぐすく」と謡われました。新城の方は、第二尚氏3代目尚真王の異母兄弟である内間大親が15世紀後半から16世紀前半に築いたと伝えられています。
城内には神殿が建てられ、近世には番所として行政の中心となりましたが、集落が丘陵下に移ったため、1903年(明治36年)に廃城となりました。
交通アクセス
行きやすさ:★★★★★
最寄りのバス停は「知念」になります。Googleマップで「知念城」を検索すると、最寄りのバス停に「久美山」が表示されますので注意ください。
那覇からのバスのルートは何種類かありますが、いずれも南城市内線バス(Nバス)に乗り換える必要があり、約80分かかります。
- 那覇バスターミナルから、「338番 斎場御嶽線」または「37番 那覇新開線」に乗車し「馬天」下車。Nバス 「A1 知念・佐敷一周線(右回り)」に乗り換え「知念」下車。バス停から徒歩12分。
- 那覇バスターミナルから、「309番 大里~結の街線」に乗車し「下親慶原」下車。Nバス 「A2 知念・佐敷一周線(左回り)」に乗り換え「知念」下車。バス停から徒歩12分。
城への道
知念バス停
知念バス停からスタートです。久美山から知念大川(ちねんうっかー)経由で目指すルートもありますが、途中から山道になるので止めときました。
ウフミチガー
バス停近くの坂道を上っていきますが、道沿いにウフミチガー(井泉)がありました。昔の生活用水ですね。
知念のシーサー
かなり風化しているシーサーですが、集落入口に置かれており、魔除けやサンゲーシ(山返し)の役目を果たしています。
養鶏所?
途中の養鶏所では、餌をもらえると思った鶏が次から次に集まってきて、申し訳なかったです。
駐車場と知念城入口
ヒイヒイ坂を上っていると、途中に駐車場と知念城への入口がありました。集落から見ると丘陵にありますが、知念城自体は中腹にあるようです。
城への下り道
一転して坂を下っていきます。道上に葉が落ちているので、転倒には注意。
知念城入口
100メートルほど進むと、奥に城が見えてきました。私の他に人はおらず、静かな雰囲気。
ノロ屋敷跡
城の手前にはノロ屋敷跡がありました。今はただ石組みを残すのみ。
城歩き
正門
いきなり出迎えてくれるのは、新城の正門と石垣です。左の木々の茂っている場所が古城とのことですが、ただの森にしか見えません。
城壁
正門から西に向かって城壁が伸びています。
裏門
城壁の途中にもアーチ門がありました。正門から30メートルほど離れています。
城壁の切れ目
裏門の先には城壁の切れ目があり、城内への道路が通っています。いや逆だ、道路を通すために城壁を崩したんですね。もったいない。
正門
改めて正門に戻ってきました。琉球の城でアーチ門を初めて導入したのは座喜味城と言われていますので、この石垣は新しいものですね。また、かなり崩落していた箇所があり、近年積み直されました。
正門とヒンプン(目隠し壁)
門を潜った先には城壁があり、これは虎口かと思いましたが、城内を見通せなくするためのヒンプン(目隠し壁)ですね。防御というより、魔除けの意味合いが強そうです。
裏門の裏
裏門にもヒンプン(目隠し壁)が築かれていました。
焚字炉
裏門近くにあった焚字炉。特に説明文はありませんが、不要になった紙を焼くための炉のことです。今で言うところの焼却炉か。
ヒヌカン(火の神様)
こんなところに掘立小屋なんか建ててと思ったら、ヒヌカン(火の神様)が祀られていました。早合点してすみません。
曲輪内
新城(ミーグスク)は南北40メートル、東西50メートルの単郭で、奥の方が一段高くなっています。曲輪内には草がぼうぼう生えていて、ズボンの裾にくっついて参りました。
御嶽?
御嶽らしき遺構もありますが、正直良くわかりません。
西側城壁と友利御嶽
曲輪の西側は崖になっていて、背は低いですが石垣が築かれています。南西隅に友利御嶽 (トモリウタキ) があるはずですが、草ぼうぼうでよく分かりませんでした。残念。
南側城壁
曲輪の南側にも城壁が築かれており、海を望むことができます。沖縄の城は海に臨む丘陵に築かれることが多いのですが、船を監視する意味合いもあったかもしれません。
古城(こーぐすく)
正門横の小山が古城(こーぐすく)とのこと。奥に石積みが見えますが、立ち入れるような雰囲気ではありません。斜面も急で、知念按司が日常生活を送れるようには見えず、詰城だったのかもしれません。
感想
やはりアーチ門はいいですね。他には観光客がおらず、静かな古城を堪能できました。願わくは、もう少し草が刈ってあれば助かります。裾のくっつき虫を取るのが大変でした。