反逆の阿麻和利(あまわり)の居城だった勝連城。勝連半島の2つの丘に北城と南城が築かれる大規模な城でした。現在は北城が復元され、丘の上に姿はまるでギリシャ神殿のようです。
2020年12月登城
満足度:★★★★★
歴史
13~14世紀頃に築城されたと考えられていますが、正直よくわかっていません。歴史の舞台に出てくるのは阿麻和利の居城になってからです。15世紀に突如現れた阿麻和利は勝連城主・茂知附按司を倒しました。勝連城主となった阿麻和利は力をつけ、6代尚泰久王の娘・百度踏揚(ももとふみあがり)を娶るまでになりました。
阿麻和利は、中城城主・護佐丸が反乱を企てていると尚泰久王に讒言し、1458年に護佐丸を討ちました(護佐丸の乱)。勢いに乗った阿麻和利は王都首里を攻めましたが、百度踏揚の密告もあり破れ、勝連城にて討たれました(阿麻和利の乱)。
こうして護佐丸と阿麻和利という有力按司が滅び、琉球王朝の地盤が強化されました。一般に忠臣・護佐丸、逆臣・阿麻和利と伝えられてきましたが、当時3者は互いに緊張した関係にあり、個人的には尚泰久王の策略だったという説に賛成です。
交通アクセス
行きやすさ:★★★★★
那覇バスターミナルから、沖縄バス52番 与勝線に1時間30~40乗車、「勝連城跡前」下車すぐ。または、沖縄バス27番 屋慶名線、80番 与那城線に2時間乗車、「西原」で下車して徒歩10分。バスの乗車時間は長いのですが、下車後が楽なのが救いです。
城歩き
勝連城図
勝連城は勝連半島の2つの丘に北城と南城が築かれ、その間の平地も城壁で囲む大規模なものでした。間の平地である四の曲輪には西原御門と南風原御門が築かれていました。現在は北城側が復元整理されています。
勝連城遠景
現在は芝生が張られていますが、城外北東に当時は湿地が広がっており、水堀としての役割も持っていました。
四の郭の石垣
万里の長城のように伸びる石垣。四の郭の北東には平地を守るように石垣が築かれており、搦手として西原御門が設けられていました。
ガー(泉)
四の郭内には複数のガー(泉)がありました。飲水は生活に不可欠なものですから、日常的に城内に住む人々が多数いたんでしょうね。
勝連城全景
まさに丘の上の渦巻の城。古代遺跡のような荘厳さすら感じられます。ただ、城壁のほとんどは、本土への返還後に順次復元されたものになります。
四の郭からの上り
三の郭へは左に大きくカーブしながら上っていきます。攻め手の兵が右利きの場合、盾で防御できる左側ではなく、防御の弱い右側を守備側に晒すことになります。よく考えられてる縄張りです。
四脚門跡
三の郭入口には四脚門が建てられていました。現在の石垣は復元ですが、壁に4箇所のくぼみが設けられていますね。
三の郭
三の郭には芝生が広がっています。築城時も御殿等の建物は無かったようです。
すり鉢状遺構
郭内にミステリーサークルのような跡が2箇所あります。発掘調査では、すり鉢状の遺構が見つかり、粘土とこぶし大の石が貼り付けてあったとのこと。普通の考えると飲水のための水溜めですが、さてその目的は?
二の郭基壇
二の郭と三の郭の境には、高さ2メートルの石垣が一直線に築かれていました。二の郭には正殿の基壇部があり、三の郭にはその前庭部がありました。
二の郭
二の郭は政治や祭礼の中心であり、正殿が建てられていました。城内に屋根瓦片が多数出土していることから、正殿が瓦葺きであったと考えられます。沖縄で瓦が使用されている城は少なく(浦添城・首里城)、勝連城主が財力を持っていたことが窺えます。
謎の石積み
正殿跡には謎の石積みが4箇所見つかっています。かまど説や照明用の炉説などが唱えられていますが、今となっては永遠の謎ですね。
ウミチムン(火の神)
二の郭にはウミチムン(火の神)が祀られていました。ヒヌカンとも呼ばれ、原初はかまどの神様だったようです。
二の郭からの上り
二の郭からは再び大きくカーブしながら上っていきます。現在は右側に階段が造られていますが、当時は石畳のみでした。
一の郭への石段
この石段が勝連城の最終防御ラインです。上に行くに従って幅が狭くなっており、攻め手が渋滞するように工夫されています。
一の郭
発掘調査から建物があったと考えられていますが、詳細は不明です。
玉ノミウヂ御嶽
霊石をご神体とする御嶽です。霊石の上部を平坦にして、建物の基礎に使用されたと考えられています。ちょっと罰当たりな気もしますが・・・
中城方面
かなり風が強いけど、一の郭からの見晴らしは抜群です。湾を挟んで中城城主の護佐丸と互いに牽制し合ったのでしょう。もし阿麻和利が天下を取っていたら、首里ではなく、ここが沖縄の中心地だったかもしれませんね。
感想
渦を巻いたような城壁が格好良く、城跡からの見晴らしも抜群でした。一時は逆臣とされた阿麻和利ですが、現在では再評価も進んでいます。阿麻和利の無念とともに、ぜひ訪問してみてください。