江戸時代を通じて盛岡藩の拠点となった盛岡城。その城郭は、東北地方最大規模の石垣を誇ります。少年時代の石川啄木が、授業を抜け出して過ごしたのもこの盛岡城でした。
日本100名城
2025年4月登城
満足度:★★★★★
歴史
南部家が築いた盛岡の礎
豊臣秀吉の小田原攻めに参陣して所領を安堵された南部信直は、1597年(慶長2年)より盛岡での築城を開始しました。信直は1599年(慶長4年)に没しますが、のちに盛岡藩の初代藩主となる息子の利直が築城を引き継いで完成させ、1633年(寛永10年)に二代藩主・重直がこの盛岡城へと入城しました。
この間、工事は北上川や中津川の洪水にも見舞われ、築城の開始から完成までには実に36年の歳月が費やされました。
幕末の盛岡城
江戸時代を通じて歴代藩主の居城であり続けた盛岡城ですが、1868年(慶応4年)の戊辰戦争において盛岡藩は新政府軍に降伏。これにより盛岡城は没収され、新政府の直轄地(のちに陸軍省の所管など)となりました。
交通アクセス
行きやすさ:★★★★★
JR盛岡駅から徒歩20分ほど。駅からはバスも多く運行されており、アクセスは良好です。ただ、西日本からだと、盛岡駅にたどり着くまでがなかなか遠いんですけどね。
縄張図
盛岡城は、北上川や中津川の氾濫に幾度も悩まされながら、16世紀末から17世紀末にかけて段階的に築城されました。
盛岡城 第一期(16世紀末~17世紀初め)

本丸と二の丸を中心に石垣が築かれ、本丸を広く囲う腰曲輪が設けられました。
盛岡城 第二期(17世紀前期)

本丸が拡張され、三の丸と西の丸を除いた腰曲輪が石垣となりました。二代藩主・南部重直が入城したのもこの時期です。
盛岡城 第三期(17世紀中期から後期)

北上川の改修に伴い、西側と榊山稲荷曲輪を石垣としたため、内曲輪は総石垣となりました。その後、小規模な改修は行われましたが、基本構造に大きな変更は行われませんでした。
城歩き
お城ぽくない北東部

盛岡城の北東側、出丸のように突き出た下曲輪跡から櫻山神社まで散策しました。
櫻山神社の鳥居

下曲輪跡の入口手前には櫻山神社の鳥居が建っており、この下曲輪跡を通る形で神社への参道が続いています。かつてはここに大手の虎口が設けられ、綱門が建てられていましたが、現在その遺構は残っていません。
下曲輪の堀


下曲輪跡の周囲には、今も堀と土塁が残っています。
櫻山神社の鳥居Ⅱ

江戸時代に門が構えられていた場所には、今では鳥居が建っています。
白龍本店

じゃじゃ麺で有名な「白龍(パイロン)」は、この参道沿いに店を構えています。
櫻山神社

道路をわたった先に、櫻山神社がみえます。櫻山神社は、江戸時代に城内の淡路丸に建立されましたが、明治維新後に城外へ遷座し、1899年(明治32年)に旧三の丸・鳩森下曲輪跡に鎮座しました。
烏帽子岩


神社の右手奥にある階段を上った先、三の丸の東端に巨大な烏帽子岩が鎮座しています。この巨岩は盛岡城の築城時に地中から見つかり、以来、南部藩のお守り岩として崇拝されてきました。
こうして烏帽子岩が露出しているということは、この付近を深く掘り下げたということであり、築城というのは本当にものすごい土木工事ですね。
ここが中心部(三の丸から本丸)

盛岡城の中心部である、三の丸から本丸まで散策しました。
三の丸大手口


盛岡城の縄張りは、本丸、二の丸、三の丸が直線上に配置されており、ここが三の丸の大手口となります。左手の石垣上には、先ほどの烏帽子岩が見えますね。
三の丸北西部石垣

右手の三の丸北西部石垣は、地震や経年変化などにより、築石のはらみや緩み、間詰石の欠落が生じていました。そのため盛岡市では、2021年度より修復工事に着手し、2024年11月30日に無事完了しました。
瓦御門跡

通路は突き当たりで右折する形状で、その途中に瓦御門が建てられていました。東北屈指の石垣を誇る近世城郭でありながら、枡形虎口を設けず古い縄張の形態を留めており、時代の変遷を強く感じさせます。
三の丸

三の丸と二の丸の間にはさほど高低差はなく、石垣によって仕切られています。
二の丸北部石垣

曲輪間に高低差はありませんが、、三の丸から本丸にかけての西側には見事な高石垣が築かれており、(個人的に)盛岡城最大の見どころとなっています。
二の丸入口


二の丸への入口には、車御門が建てられていましたが、やはり枡形虎口は設けられていませんでした。
二の丸

江戸時代の二の丸には大書院があり、盛岡城の公式行事が行われる場所でした。今では、石川啄木や新渡戸稲造の碑が建てられています。
石川啄木の歌碑

「不来方のお城の草に寝ころびて空に吸はれし十五の心」
岩手山

二の丸から眺めた岩手山が美しかったです。少し前までは、教育会館に遮られて見えなかったそうですね。
渡雲橋

本丸と二の丸は、赤い欄干が特徴的な「渡雲橋」で結ばれています。現在はコンクリート造りですが、当時は屋根付きの廊下橋でした。
本丸空堀

橋の下は空堀となっており、その堀底は通路としても利用されています。
多門櫓跡



本丸北部の縄張りは、中央に廊下橋門、北東隅に隅櫓、北西隅に小納戸櫓が設けられ、それぞれ多門櫓で結ばれていました。いやはや、えらいごっつい造りですね!
天守台

本丸の南東隅には、天守台のみが残っています。かつてはここに、天守の代わりとなる三階櫓が建っていました。
本丸南面の石段


本丸南面には腰曲輪に下りるための石段が設けられています。これは1906年(明治39年)に盛岡城跡が公園として整備された際に設置されたもので、本来の遺構ではありません。
江戸時代の盛岡城には石段がほとんどなく、石垣に沿って斜めに上り下りする木製の階段が多く使われていました。特に本丸西南隅の多聞櫓から腰曲輪へ下りる階段は、「百足(むかで)橋」と呼ばれていました。
本丸から帯曲輪

本丸から帯曲輪をぐるりと散策しました。
御末御門跡


本丸の東面には、かつて「御末御門(おすえみもん)」が設けられていました。門の先はスロープになっており、その終点にはさらに「冠木御門(かぶきみもん)」が構えられていました。
本丸東面の石垣


坂の途中で、本丸下の腰曲輪である「淡路丸」に立ち寄ってみました。ここでの最大の見所は、本丸東面の野面積みの石垣です。城内で最も古い、築城当初の慶長年間の石垣と考えられています。
廊下橋下の空堀

再びスロープに戻って下りると、先ほど橋から見下ろした空堀の底へと繋がります。
ハバキ石垣

二の丸の東面では、「ハバキ石垣」を2箇所で見ることができました。ハバキ石垣とは、石垣の膨らみや崩れを防ぐため、外側から押さえて保護するように積まれた低い石垣のことです。
淡路丸石垣




淡路丸の東から南にかけてぐるりと回ってみましたが、折れを伴う石垣が大変見事です。
彦御蔵

盛岡城跡の南側には、城内に唯一残る現存建築物である「彦御蔵」が建っています。見逃しやすい場所にあるので、訪れる際はぜひ探してみてください
腰曲輪の石垣とハバキ石垣



腰曲輪の南西隅には、今もハバキ石垣が残されています。昭和の石垣修復の際に撤去されてしまいましたが、かつては南面にもハバキ石垣が存在していました。これほど修復箇所が多いことを考えると、当時の石垣構築技術は、まだ発展途上であった可能性が窺えます。
高石垣に圧倒される西部

三の丸や二の丸の高石垣を堪能しながら、吹上坂を上って腰曲輪を散策しました。
三の丸西部

それでは、盛岡城で最も高い石垣がそびえる西側エリアへと向かいましょう。
二の丸高石垣



二の丸の北面と西面の石垣は江戸時代中期に築かれたもので、その高さは約14メートルに及び、盛岡城最高を誇ります。ぜひ足元から見上げて、その圧倒的な迫力を味わってみてください。
榊山稲荷曲輪



本丸腰曲輪の南西部に突き出すように配置されているのが「榊山稲荷曲輪」です。全国的にも珍しい直角三角形の形状をしており、これは坂下門や吹上門へ迫る敵に対して、横矢を掛ける目的で築かれました。
吹上坂


本丸西側の腰曲輪へと通じる吹上坂は、当時は急勾配の石段でした。それが明治期の公園整備に伴い、現在のような緩やかな坂道へと改変されました。坂の石垣を横から眺めると、斜めのラインが残っているのがわかります。
吹上御門跡

坂の上には吹上御門が設けられていました。
本丸南西面の石垣


本丸の南西面にあたる石垣は、1706年(宝永3年)から翌年にかけて大規模な修理が行われたため、規格の揃った石材が整然と積まれています。
三角錐角石

パズルのように組み合わせた三角錐形の角石もあり、石垣積み技術のレベルの高さを実感できます。
腰曲輪から二の丸への通路



現在は本丸西の腰曲輪から二の丸へそのまま通り抜けできますが、当時はこの間に石土居が築かれており、そこに設けられた埋門を潜らなければ通行できませんでした。
感想
迫力のある石垣を堪能できました。城内がきちんと整備されており、とても散策しやすかったです。近くの「もりおか歴史文化館」の展示も素晴らしく、盛岡城の歴史を学ぶことが出来ました。お薦めです。



































名護屋城は、玄界灘に突き出た波戸岬の付け根に築かれました。本丸の北西部には5重の天守がそびえ、その北西に二の丸と弾正丸、南東には三の丸が配置されました。










































































































































