石垣好きの城歩き

石垣好きの城歩き

石垣マニア(自称)が電車とバスと気合でお城を歩き回ります

糸数城(沖縄県南城市) 万里の長城を思わせる城壁

南部地区で一番の城壁が残っている糸数城。万里の長城のようで迫力満点です。城内も広く、見どころいっぱいのグスクでした。

2022年10月登城

満足度:★★★★★ 

 

歴史

築城の年代は不明ながら、三山鼎立時代に玉城城にいた玉城按司が三男を糸数按司に任じて築かせたと伝えられています。また伝承によると、糸数按司の配下には猛将・比嘉ウチョウがいたが、彼がグスク増築のための部材を買いに城を離れている隙に、敵対する上間按司に急襲されて落城したといいます。

 

交通アクセス

行きやすさ:★★★★

那覇からのバスは2通りあります。糸数アブチラガマから南に向かうとすぐにある、左の別れ道を進んだ先にあります。

那覇バスターミナルから、「51番 百名線」に40分弱乗車し「糸数入口」下車。バス停から徒歩20分弱。

那覇バスターミナルから、「40番 大里線/309番 大里結の街線」に45分乗車し「世利田」下車。バス停から徒歩16分。

私は玉城城からグスクロードを歩いて向かいました。

 

 

途上の道

グスクロード

玉城城からグスクロードを西に進みます。途中のグスクロード公園(なんじー公園)に自販機やトイレがありました。

 

糸数城への道

25分ほど歩くと右側に駐車場があり、左側に脇道がありました。案内板等は無く、この先に城があるのか不安になってきます。

 

蔵屋敷

道の左側に広がる蔵屋敷跡。糸数城の東には蔵屋敷が広がっていましたが、明治時代に天然痘が流行した際、現在の城跡西に移転しました。石積みが残っているようですが、草ぼうぼうでよく分かりませんね。

 

佐南グムイ

道の右側には、佐南グムイという標柱が立っています。かつてここには溜池があっりました。奥に見える建物は、気象レーダー観測所です。

 

糸数配水池

配水池が見えれば、城跡はもうすぐ。配水池があるということは、この場所が高所にある証拠ですね。

 

根石グスク

配水池の近くには根石グスクの標柱がありました。糸数城が建てられる前は、根石グスクがこの地の中心でした。

 

城壁

糸数城

今まで城らしき遺構は何もありませんでしたが、道の先に城壁が垣間見えます。

 

北のアザナ

糸数城 北のアザナ

北のアザナ(物見台)に出ました。何もない草原を歩き、唐突に現れた城壁の迫力に驚きました。本当に感動しました。

 

城歩き

北のアザナ

糸数城 北のアザナ

北のアザナ(物見台)のこの迫力。北東部にあるこのアザナは崖の上に築かれており、城内で一番の高所にあります。

 

東側城壁

糸数城 城壁

糸数城は丘陵に築かれていますが、玉城城方面には高低差がありません。その弱点を補うため、東側に高い城壁を築いています。

正門

糸数城 正門

城壁の中頃に正門が設けられていました。東側からの入口はここだけです。城内に入る前に南側の城壁の先を見てみます。

 

南のアザナ

糸数城 南のアザナ

城壁の南側にはアザナが連続して設けられています。手前が訳ありのアザナ、奥が南のアザナです。

 

正門寄りのアザナ

糸数城

正門寄りのアザナは、当初は城の正門でした。元は甕城(おうじょう)と呼ばれる方形の小堡であり、後にアザナへ改築されています。また、城壁が2段になっており、下段の犬走り状の石垣は根元が崩れるのを防ぐために積まれています。

 

南のアザナ

糸数城 南のアザナ

アザナとは物見台のことですが、中国の「馬面(ばめん)」、朝鮮半島の「雉(ち)」によく似ており、この城のルーツが垣間見えます。

 

正門

糸数城 正門

再び正門に戻ってきました。正門部分のみ切石が積まれており、明らかに後から築かれています。

城壁(南側)

糸数城

南のアザナや旧正門跡を内からも見たかったのですが、正門を入って左側(南側)は立入禁止になっていました。昔はアザナにも登れたらしいのですが残念。

城壁(北側)

糸数城

糸数城

正門を入って右側(北側)には、北のアザナへの城壁が延々と続いています。実は北のアザナ部分は後から増築されており、この城壁もその時に築かれました。

 

糸数按司の墓

糸数城

糸数城

林の中の道を進むと、糸数按司の墓に出ました。ちなみにこの墓は当時のものではなく、1966年(昭和41年)に建てられています。

城内(北東側)

糸数城

糸数城

林を抜けると平場が広がっており、北東側に城壁が築かれています。ただ、城壁の中央部分は崩されており、車道が造られていました。糸数城に来られる方の大半が、ここから入城することになります。

 

北のアザナ

糸数城 北のアザナ

糸数城 北のアザナ

城壁の外側から見上げる北のアザナは迫力満点。北のアザナは後から増築されていますが、北側の防御を考えると必然だと思います。猛将・比嘉ウチョウが石材調達のため国頭に赴いたとの伝承がありますが、この北のアザナ部分の増築のことを指しているのかもしれません。

 

糸数城の碑

城内には糸数城の碑が建てられていました。次は城内の南側に行ってみます。

 

糸数城之嶽

糸数城 糸数城之嶽

城内には石灯籠付きの御嶽がありました。他にも御嶽らしき跡があり、廃城後も聖域とされてきたことが分かります。

 

謎の穴

プレハブ小屋の後ろに石積みがあったので、恐る恐る入ってみたところ謎の穴がありました。井戸?抜け穴?

 

城跡からの眺め

南端から海が眺められます。こうやって見ると、糸数城が高地に築かれていることが実感できます。

 

感想

何と言っても、中国の城のような城壁が素晴らしかったです。特にアザナは迫力満点で、上れないのが残念でした。日本100名城には選ばれていませんが、隠れた名城だと思います。