石垣好きの城歩き

石垣好きの城歩き

石垣マニア(自称)が電車とバスと気合でお城を歩き回ります

松山城(愛媛県松山市) 現存天守の残る日本三大平山城

日本三大平山城の一つである松山城。現存する天守を始めとした天守曲輪の見事さは流石の一言。小天守やその他の櫓が放火や戦災などのため焼失しましたが、総木造による復元が進められました。お城を見学した跡は、道後温泉でサッパリ汗を流しましょう。

日本100名城

2015年7月登城

満足度:★★★★★ 

 

 歴史

関ケ原の合戦の戦功により、加藤嘉明は伊予半分を賜り、勝山に松山城を築きました。その後、加藤嘉明と入れ替わりに蒲生忠知が封じられましたが、在城7年目に京都で病没し蒲生家は断絶。新たに桑名城主松平定行が封じられ、15代続いて明治維新に至りました。

  

交通アクセス

行きやすさ:★★★★

JR松山駅から路面電車で「大街道」で下車。大街道から徒歩5分のロープウェイ東雲口からロープウェイかリフトで本丸に向かいます。もちろん登城道を歩くことも出来ますが、体力がないと疲れます。 

 

城歩き

リフトが気持ちいい!

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ロープウェイ東雲口からリフトかロープウェイに乗って本丸に向かいます。高所恐怖症でなければリフトがお薦め。ただし、雨の日はロープウェイのみの運行となります。

 

本丸の高石垣

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リフトを降りてから天守へはほぼ一本道。本丸の高石垣には圧倒されます。打込接の積み方が見事で、高さは15m近くはあるんじゃないかな。ここまで石を運んでくるのも大変だったろうに。

 

筒井門

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戸無門を進むとそびえ立つのは筒井門。本丸防御のための松山城最大の門です。ここの石垣は切込接ですね。

 

隠門

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筒井門の奥の石垣の陰に隠された隠門(上記筒井門の右側に隠れています)。敵が筒井門に殺到した時に、横から奇襲することを目的としています。面白い縄張りだな.

 

太鼓門・太鼓櫓

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筒井門から本丸に侵入してくる敵に備えた門。最終防御ですな。

 

本丸石垣

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ようやくたどり着いた本丸。屏風(びょうぶ)折の石垣が見事。ちなみに本丸までなら入城料はかかりません。

 

天守

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本丸より一段高い本壇(天守曲輪)になっています。天守は三重三階で、天守・小天守・櫓を四方に配置し、渡櫓でつなぐ連立式天守。当初は五層だったのですが、松平定行が三層に改築したそうです。どうりで少しずんぐりしていると思った。

 

本壇内の門

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一ノ門を潜ってからぐるぐる。これはいたる所から狙い撃ちされますね。

 

天守からの眺め

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見晴らしが抜群!石垣や櫓はもちろん、松山平野を一望できます。昔の殿様も同じように城下を眺めていたかもしれません。

 

感想

天守を始めとした建造物群が見事です。また、武家諸法度で城の増改築が規制されていたり、財政面から断念することも多かったのにも関わらず、現在の天守群が幕末に建造されていることも驚きです。昭和に小天守やその他の櫓が放火や戦災で消失しましたが、総木造による復元をしたというのも素晴らしい。地元の方の思い入れが強く感じられます。

 

宇和島城(愛媛県宇和島市) 藤堂高虎が築いた五角形の城

城作りの名手である藤堂高虎が築いた宇和島城。貴重な現存12天守のひとつが残っています。珍しい五角系の縄張りで、幕府の隠密も四角形と間違えたとか。残念ながら、当時の堀は埋め立てられてしまっていますが、城山の緑が眩しかったです。

日本100名城

2015年7月登城

満足度:★★★★ 

 

歴史

1599年 藤堂高虎宇和郡に封ぜられると、戦国時代の板島丸串城を大改修し、宇和島城としました。高虎が今治に転封となってのち、伊達政宗の長子秀宗が宇和郡10万石を賜り、1615年に入城。2代宗利の時、天守以下城郭の大改修を行い、その姿を現在に残しています。

 

交通アクセス

行きやすさ:★★★★

JR宇和島駅から徒歩15分くらい。ただ、東京や大阪から宇和島まで行くのが少々大変。松山から特急で1時間半弱かかります。 

 

城歩き

案内板にあった古絵図

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古絵図を見ると、縄張りが5角形なのがよく分かりますね。江戸時代初期は2辺が海に面していましたが、平地が少ないため早くから干拓が進められ、現在は海城の印象はありません。

 

上り立ち門

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宇和島城の現存建造物は、天守と上り立ち門の二棟のみ。搦め手にあたる上り立ち門から登城してみました。

 

南国風

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お日様の光がまぶしいね。植物の緑が濃いです。江戸時代から守られている城山の草木が宇和島城の魅力の一つでもあります。

 

苔むした石垣

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草いきれのこもる苔むした石垣と石段。この雰囲気好きだな。こちらのルートは人が少なく、静かな時が流れていきます。あと汗も流れる。

 

天守

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本丸の端にぽつんと建つ天守。でも近づくと意外と大きいです。最上層に唐破風、2層と3層は千鳥破風で装飾されており、石落としなどはありません。江戸の平和な時代に建てられた領主の象徴的な存在のようです。もちろん中にも入れて、見晴らしが良かったです。

 

桑折(こおり)氏武家長屋門

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天守からの帰りは井戸丸を通って下りました。この門は城山の北登城口にある桑折(こおり)氏武家長屋門。元々ここにあった門ではなく、家老の桑折氏の長屋門として使用されていたものを戦後移転したものだけど立派だよね。家老って儲かるのかな。

 

感想

数少ない現存天守が残っているだけではなく、草木の緑と苔むした石垣の雰囲気が良かったです。普通は桑折武家長屋門から登城すると思いますが、帰りは上り立ち門へと下りると、また違った雰囲気が楽しめますよ。

 

グルメ

鯛めし

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宇和島名物の鯛めしは、鯛の刺身をタレと卵黄に混ぜ合わせ、ご飯にかけていただきます。写真は駅近くの「とみや」のセットの鯛めし。少し古びた雰囲気の店だなと侮ってスマン。美味しかったです。 

高知城(高知県高知市) 貴重な現存天守と本丸御殿

土佐24万石、山内家の居城であった高知城。全国に12しかない現存天守が残っているだけでもすごいのに、本丸御殿も残っています。石垣好きとしては、二の丸や三の丸の高石垣も見逃せません。カツオのたたきも旨かったぜよ!

日本100名城

2015年7月登城

満足度:★★★★★ 

 

歴史

関ケ原の合戦によって土佐一国を与えられた山内一豊は大高坂山に居城を定め、本丸と二の丸を完成しました。二代忠義によって三の丸が完成し、名を高智山と改め、これが後に高知になりました。

 山内一豊は妻(千代)の内助の功で有名ですが、土佐では長宗我部の残党にえげつないことしたようで地元の評判は微妙ですね。敵地を治めることになり、一豊も必死だったんだと思います。

 

交通アクセス

行きやすさ:★★★

JR高知駅から路面電車に乗って「はりまや橋」で乗換え後、「高知城前」下車。本数も多いし余裕です。のんびり 歩いても30分弱ぐらい。 

 

城歩き

追手門

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高知城の表門にあたる追手門から城内に入ります。門と矢狭間塀で囲まれた枡形で敵の攻撃を迎え撃ちます。渡櫓の中に入れないのが少し残念。

 

案内図

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本丸と二の丸が廊下橋で繋がり、三の丸がぐるっと囲みます。右下の板垣退助像あたりから本丸を目指します。

 

杉の段の石垣

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石垣は野面積み。高知は多雨地帯なので、排水が直接石垣に当たらないように石樋が舌のように飛び出ています。これを含め城内に16ヶ所確認されているそうです。南国ならではの工夫ですね。

 

三の丸の石垣

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人はあまり見かけませんでしたが、三の丸の高石垣が立派です。特に北側の石垣は野面積で苔生していて風情がありました。

 

カニ発見

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近くに川があるように思えないけどカニ発見。不思議だ。

 

本丸の天守

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こうして見ると、惚れ惚れするほど石垣が立派です。

 

廊下橋

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二の丸から本丸へはこの廊下橋を渡ります。私が訪問したときは夏祭りの最中で、二の丸には沢山の屋台が出ていて賑やかでした。

 

天守と御殿

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天守と本丸御殿。天守は4重6階の望楼型天守天守天守台の上に建てられることが多いのですが、高知城は曲輪に直接建てられています。また、2重と3重の間が間延びしており、個人的には少々格好悪いなと失礼な印象を持っております。

一応フォローすると、天守・御殿・廊下橋など本丸全体の建物が残っているのは高知城だけで、大変貴重です。

  

感想

本丸全体の建物が残っているだけでも凄いのに、縄張りや石垣もとても立派です。石垣好きなら三の丸の石垣は見逃せないですよ。城好きなら必ず行くべき城ですね。

「日本の夜明けぜよ!」

 

グルメ

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小料理屋の「磯の茶屋」さんのカツオのたたきが絶品でした。お薦めです。

 

竹田城(兵庫県朝来市) 天空の城として人気の山城

“天空の城”として大人気の竹田城。山頂に立派な石垣が残る山城です。映画「天と地と」のロケ地で一躍有名になった憶えがあり、出来れば有名になる前に来たかったよ。

日本100名城

2015年7月登城

満足度:★★★★

 

見どころ

山頂の石垣とサワガニ(?)

 

歴史

竹田城山名宗全の家臣、太田垣氏によって1430年代に築かれたといわれています。ただ、現在に残る石垣は織豊時代に築かれたものであり、秀吉家臣の赤松広秀によるものと考えられています。赤松広秀関ケ原の合戦後に自刃し、竹田城は廃城となりました。 

これだけの石垣を誰が積み上げたかはっきりせず、 江戸時代には既に廃城になっていました。戦いが目的の山城の宿命かもね。

 

交通アクセス

行きやすさ:★★★

JR竹田駅近くにありますが、播但線が1、2時間に1本で、姫路からだと1時間半、福知山からでも40分ぐらいかかります。駅からは電車の到着に合わせてバスが出ており、乗車時間15分。マイカーだと山城の郷の駐車場までしか行けないので、そこから歩いて40分くらい。気合で山道を登ると30分ぐらい。  

 

城への道のり

竹田駅

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駅裏登山口

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竹田駅の裏側に登山口があります。足腰に自信の無い方は駅前から天空のバスに乗ることをオススメします。冬季(12月~2月)は運休らしいので、全担バスのHPを確認してください。

 

ひたすら山道

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こんな感じの山道を登っていきます。まだ整理されている方だとは思うけど、運動不足の身にはとても辛い。途中に沢ガニがいて、沢もないこんな山中になぜと思いました。

 

竹田城

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登り続けること30分ほどで、ようやく入口近くまで着きました。この先で入城料を払いました。

 

城歩き

大手門跡

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いきなり立派な石垣が現れたら、今までの疲れも吹き飛びますわ。

 

場内の石垣

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大手門からは、北千畳,三の丸,二の丸を通り本丸にむかいます。山城にもかかわらず、全ての曲輪が石垣に囲まれているのがすごい。その石はこの山から採取して、使用しているとのこと。そりゃ麓からいちいち運んでいたら大変だ。

城内には地面保護の黒シートが敷かれおり、見学ルートはほぼ一方通行にでした。観光客が増えたのと、城跡保護のためにはしょうがないか。

 

天守台方面

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今は上れるようですが、私は訪問したときは天守台は立入禁止でした。さぞや眺めが良かったろうな。残念。

 

城下を望む

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とても眺めがいいね。よくここまで登ってきたねと、自分を褒めてあげたい。反対側は国道が通っていて眺め的には残念。

 

感想

江戸時代前に廃された城が今になって大人気になるなんて、当時の人は思いもよらなかったでしょうね。見晴らしの良さもあって、青空に映えた石垣は本当に見事です。ただ、人気が出る前に来て、城内を隈無く歩き回りたかったな。

 

自己紹介

城巡りの動機

小さい頃からなぜか城が好きでした。小学生の時に買った、小学館の「城郭と城下町」は今でもたまに読み返します。その後、学生、そして社会人となり、のんびりと城巡りを続けてきました。

積極的になったのは、熊本地震による熊本城損壊がきっかけです。テレビで見た石垣の崩落は衝撃でした。「いつまでも変わらないものは無い」という当たり前のことに気付かされました。

また、10代、20代のときと比べ、体力が落ちてきているのを自覚したのも理由の一つです。山城を訪れるのは、次第に難しくなっていくことが予想されました。

後で後悔せぬよう、出来る限り城巡りいたします。

 

交通手段は公共交通機関

城までの交通機関は主に鉄道,バス,徒歩,レンタサイクルとなります。悔しいから、極力タクシーは使いません。苦労して山道を登ったのに、近くに駐車場があるとめちゃ悔しいです。でも、負けません!

 

好きなお城のタイプ

姫路城や大阪城なんか、本当にすごいと思います。でも、岡城や津山城のような石垣だけの城が大好きです。

 

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