石垣好きの城歩き

石垣好きの城歩き

石垣マニア(自称)が電車とバスと気合でお城を歩き回ります

金沢城(石川県金沢市) 蘇る加賀百万石の巨城

2020年7月に復元された鼠多門と鼠多門橋を見学しに金沢城を訪問しました。鼠多門は黒漆喰の海鼠壁という、非常に珍しい外観をしています。また、鼠多門橋の復元により、兼六園から金沢城経由で尾山神社へ抜けるという観光ルートも完成しました。

日本100名城

2020年8月登城

満足度:★★★★★

 

歴史

加賀一向一揆の拠点だった金沢御堂を改修して、1580年に佐久間盛政が入城しました。1583年の賤ヶ岳合戦の後、破れた佐久間盛政に替わり前田利家が入城します。改修は嫡男・利長が行い、蓮池堀・いもり堀・白鳥堀が掘られ、高石垣が築かれました。以後、280年余りに渡り、加賀百万石・前田家の居城となりました。

 

交通アクセス

行きやすさ:★★★★

JR金沢駅から徒歩30分程ですが、バスがバンバン出ていますので利用しましょう。バス停「兼六園下・金沢城」で下車し、石川門から入城。もしくは「南町・尾山神社」で下車し、尾山神社経由で鼠多門から入城。 

 

城歩き

鼠多門は江戸時代に存在していた櫓門ですが、1884年明治17年)に火災で焼失しました。2015年から再建工事が進められ、2020年7月に無事完成しました。

 

縄張図

金沢城 縄張図

今回は、石川門⇒三の丸⇒ 橋爪門⇒二の丸⇒玉泉院丸⇒鼠多門というルートで歩いてみました。鼠多聞橋が復元されたことにより、兼六園から金沢城を通って尾山神社に抜けるという動線が確保されました。石川県の深慮、恐るべし。

 

石川橋

金沢城 石川橋

金沢城兼六園をつなぐ石川橋。いつも観光客で賑わっていますが、実は大手ではなく、搦手にあたります。

 

百間堀跡

金沢城 百間堀跡

金沢城は小立野段丘の先端部に築かれており、大地続きの兼六園側が弱点になりました。そのため、かつては百間堀と呼ばれる幅広い水掘がありました。もしここに道路を造らなかったら、金沢城兼六園をと横切れないので不便だったでしょう。

 

石川櫓

金沢城 石川櫓

金沢城と言ったら石川櫓。海鼠壁に鉛瓦、唐破風付出格子という華麗な外観。

 

石川門

金沢城 石川門

金沢城 石川門

表門・櫓門・続櫓・菱櫓で構成された枡形門。金沢城で江戸時代からの唯一現存の門になります。

 

三の丸と五十間長屋

金沢城 三の丸と五十間長屋

加賀100万石だけあって、金沢城は本当に広い。奥に見えるのは五十間長屋。以前三の丸には金沢大学のキャンパスがありましたが、平成になり郊外に移転しました。そのおかげで近年整備が進んでいます。

 

内堀と五十間長屋

金沢城 内堀と五十間長屋

1999年から2000年(平成11~12年)にかけて復元された内堀と石垣。一見すると塀に狭間がないように見えますが、いざという時には瓦を一枚割れば鉄砲を撃てる「隠し狭間」が設けられています。

 

橋爪門

金沢城 橋爪門

金沢城 橋爪門

二の丸への正門の橋爪門。金沢城で一番大きな枡形で、2001年(平成13年)に一の門、2015年(平成27年)に二の門が復元されました。

 

極楽橋空堀

金沢城 極楽橋

金沢城 空堀

二の丸と本丸附段間の空堀に架けられた極楽橋。江戸時代からこの名で呼ばれており、かつてこの地にあった金沢御堂に由来すると伝えられています。

 

三十間長屋

金沢城 三十間長屋

本丸附段に立ち寄って、2階建ての土蔵である三十間長屋を眺めます。あまりに長すぎて全体写真を撮るのも大変です。

 

玉泉院丸庭園

金沢城 玉泉院丸方面

金沢城 玉泉院丸庭園

三十間長屋の見学後、玉泉院丸庭園に向かいます。玉泉院丸は2代藩主利長の正室・玉泉院の屋敷があった曲輪で、玉泉院逝去後、3代藩主利常によって庭園が作られました。実はつい最近まで県体育館があり、現在の庭園は2015年(平成27年)に整備されました。

 

色紙短冊積石垣

金沢城 色紙短冊積石垣

金沢城 色紙短冊積石垣

この色使いのセンスに脱帽。色紙形(正方形)と短冊形(長方形)の色違いの石を組み合わせた魅せる石垣です。十七世紀後半に造られた可能性が高く、かつては黒色のV字形石樋から水を落とし、滝に見立てていました。

 

色紙短冊積石垣付近

金沢城 色紙短冊積付近石垣

金沢城 色紙短冊積付近石垣

色紙短冊積石垣付近の石垣にも、様々な色彩の石が使われています。庭園に溶け込んだ、魅せることを目的とした石垣。石の積み方が何かの古代遺跡を想起させます。

 

鼠多門

金沢城 鼠多聞

金沢城 鼠多聞

2020年7月に再建されたばかりの鼠多門(ねずみたもん)。 その最大の特徴は、海鼠壁の目地に黒漆喰が使用されていることです。名称の“鼠”はこの色に由来しますが、金沢城で黒漆喰を使用しているのはこの門のみ。

 

鼠多門内部

金沢城 鼠多門内部

木のいい香りがします。広々とした櫓内は、木造による復元が行われています。 使用木材の75%が県産で、櫓の側柱・壁板・床板等には能登ヒバが使用されています。かなり気合が入っています。

 

鼠多門

金沢城 鼠多門

鼠多門橋から眺める鼠多門。黒漆喰のおかげで精悍な顔立ちです。門横の石垣は明らかに復元ですね。

 

鼠多門橋からの堀跡

金沢城 堀跡

鼠多門と金谷出丸(現尾山神社)を結ぶ鼠多門橋も復元されました。橋下の道路はかつての堀跡です。ここも道路になっていますね。

 

尾山神社

尾山神社

前田利家、おまつの方をお祀りする尾山神社1873年明治6年)に金谷出丸跡に建てられてました。

 

神門

尾山神社 神門

尾山神社の正門にあたる神門。和漢洋の建築様式が用いられ、最上階にはステンドグラスがはめられています。なんとも不思議な雰囲気。

 

感想

再建された鼠多門が渋くて格好良かったです。何より尾山神社と繋がったことにより、金沢城見学が便利になること間違いなし。特に玉泉院丸庭園の色紙短冊積石垣も必見です。1995年(平成7年)の大学移転からの石川県の気合の入れ具合は半端なく、それ以前とは別物と言っていいほど整備されています。城好きは必見ですぞ。