佐伯の八幡山に残る佐伯城。関ケ原の合戦後、世の中が平城に移りゆく中で築かれた山城です。明治の文豪・国木田独歩はこの城山を舞台に小説「春の鳥」を書きました。
満足度:★★★★★
歴史
関ケ原合戦後、豊後日田から毛利高政が佐伯に入封しましたが、それまでの栂牟礼城が不便であったことから、新たに八幡山に4年がかりでに築城しました。以後幕末まで毛利氏の居城になりました。
この毛利高政の旧姓は森でしたが、秀吉の中国大返しで毛利家の人質となった際、毛利輝元に気に入られ、毛利性を与えられました。
交通アクセス
行きやすさ:★★★★★
JR佐伯駅から登城口まで徒歩30分。駅隣りの佐伯市観光協会で電動自転車をレンタルするのもお薦めです。
城歩き
佐伯城は山頂部に本丸・二ノ丸・西出丸・北出丸があり、山麓部には三の丸や藩主の居館がありました。
三の丸櫓門
三の丸の正門として築かれた櫓門。佐伯城唯一の現存の建物になります。後ろに見えるは佐伯文化会館(ちょっと邪魔)。
案内図
本丸への道は3つ。昔からの「登城の道」と後から造られた「翠明の道」と「独歩の道」。ここは最短距離の「登城の道」にチャレンジしましょう。
登城の道
覚悟はしていたけど結構きつい。 山道としては整備されている方だと思いますが、途中で誰にも会わず。15分程登って三の丸の石垣が見えたときは正直ホッとしました。昔の人はスゴイな。
二の丸入口
本丸と二の丸の間には小橋がかかっており、一度二の丸に入ってから橋を渡って本丸に向かいます。小規模な堀切と言ったところ。
二の丸
北南に細長い二ノ丸。山頂の曲輪では一番の広さですが、それでも数百人は立て籠もれないかも。国木田独歩の文学碑が建てられていました。
本丸天守台跡
築城当時は三層天守が築かれていましたが、1617年に火災で焼失。以後再建されることはありませんでした。
城下の眺め
見晴らしがとにかく抜群。佐伯湾と城下を一望できます。山頂にある天守を始めとした建物と石垣は城下からもさぞや映えたでしょうね。
北の丸方面
本丸から虎口とその先の北の丸を眺めたところ。北の丸も細長い曲輪であり、若宮八幡宮に抜ける「若宮の道」があります。
独歩碑
下の本丸に建てられた独歩碑。国木田独歩は明治の文豪で、1893年に教師として佐伯に滞在しました。哀しい話「春の鳥」はここ佐伯城が舞台になっています。
帰りは「独歩の道」を下りましたが、とても歩きやすかったです。ウォーキングしている方も多数いて、地元に愛されている城山でした。
感想
麓の遺構は三の丸櫓門しかりませんが、山頂には石垣がよく残っていて楽しめました。なにより城下と佐伯湾の眺めが抜群でした。
駅から城に行く途中に、小学生から元気に挨拶されたのには少し驚きました。なんだか心がほっこりしました。いい街ですね。